多くの痛みは、
痛い場所そのものが原因ではありません。
事故による負傷であれば、負傷した部位に問題があります。
しかし、多くの方が悩まされている腰痛や肩こり、膝の痛みなどは、
実際に体の状態を見ていくと、痛みが出ている部分とは別のところに問題があることがほとんどです。
これらの痛みは、日常の体の使い方の積み重ねによって、
特定の部分に負担が集中し、痛みとして現れます。
つまり、痛みの原因は
「体の使い方」にあります。
痛みはなぜ繰り返すのか
「特に無理をしたわけでもないのに痛くなる」
「良くなったと思っても、また繰り返す」
こうした状態は、日常の中で同じ負担が繰り返されていることが原因です。
みなさんは右利きですか?左利きですか?
ほとんどの人に利き腕がありますよね。
「私は両利きです」という方でも、
どちらかというと多く使っている側があるはずです。
また、心臓は左側、肝臓は右側にあるように、
人間の体は完全な左右対称ではありません。
さらに、日常生活の環境も影響しています。
例えば、駅の改札では切符の投入口は右側にありますし、
自動販売機の料金投入口も右側にあります。
このように、日本の社会は右利きの人に合わせて作られているため、
知らず知らずのうちに体の使い方に偏りが生まれてしまいます。
偏りのある体と、偏りのある環境の中で生活している以上、
特定の部分に負担がかかることは避けられません。
その積み重ねが、痛みとして現れてくるのです。
いったん良くなったとしても、
同じ体の使い方を繰り返している限り、
痛みが再発してしまうのは自然なことです。
「姿勢」は結果
よく「姿勢が悪いから痛くなる」と言われますが、
実際には姿勢は原因ではなく、結果として現れるものです。
赤ちゃんを思い浮かべてみて下さい
初めて立ち上がる時、まだ「姿勢」なんてめちゃめちゃですよね?
それが、立ち上がって動き回るうちに、
自然と「姿勢」が作り上げられていきます
これ、自然な流れです
そして、重力に引っ張られ、いろんな社会環境にさらされていくうちに
様々な姿勢に変化していきます
100人いれば100通りの姿勢があります
それは、みんな生活環境が違うからです
体の使い方に偏りがあれば、
その影響が姿勢として現れます。
つまり、姿勢だけを整えようとしても、
体の使い方が変わらなければ、
なかなか痛みの改善にはつながりません。
体の使い方の中でも特に影響が大きいもの
体の使い方の中でも、
特に影響が大きいのが「歩き方」です。
そもそも人間は「直立二足歩行」を行う生き物です。
体の構造自体が、この二本の足で歩くことを前提に作られています。
また、人は日常生活の中で、
無意識のうちに何千歩と歩いています。
そのため、歩き方にわずかな偏りがあるだけでも、
その積み重ねによって体に大きな影響が現れてきます。
つまり、歩き方は日常の中で最も繰り返される「体の使い方」と言えます。
歩行の本質
歩き方というと、
・胸を張る
・しっかり足を上げる
・腕を振る
などといったことがよく言われます。
確かにこうした動きは、
「きれいに歩いている」と感じるかもしれません。
しかし、これらはあくまでも“結果”であり、
本当に大切なのはもっとシンプルな動きです。
体を足の上に乗せる
乗った体を次へ送り出す
この動きがスムーズにできているかどうかが重要です。
「上って下る」のが歩行
歩くときの体の動きを、もう少しだけ具体的に見てみましょう。
歩いているとき、体は常に前に進んでいるように感じますが、
実際にはシンプルな2つの動きを繰り返しています。
それが、
「体が足の上に乗る(上る)」
「乗った体が前へ進む(下る)」
という動きです。
まず、足が地面についたときに、
体はその足の上に乗っていきます。
このとき、体がしっかり足の上に乗ることで、
安定して次の動きにつながります。
これが「上る」動きです。
そして、足の上に乗った体は、
そのまま自然に前へ進んでいきます。
このとき、体は無理に前へ出そうとしなくても、
スムーズに次の一歩へとつながっていきます。
これが「下る」動きです。
歩行は、この「上る」と「下る」を繰り返す、
とてもシンプルな動きなのです。
“上れない”状態とは?
本来、歩くときには、
体が足の上にしっかり乗ることで、
安定して次の動きにつながっていきます。
しかし実際には、
この「上る」動きがうまくできていない人が多く見られます。
例えば、
・体が後ろに残っている
・前に突っ込みすぎてしまう
・体が横に流れてしまう
といった状態です。
こうした歩き方では、
体が足の上にまっすぐ乗ることができません。
本人は前に進んでいるつもりでも、
実際にはスムーズに体を運べていない状態になります。
それでも歩いている以上、前に進まなければいけないため、
本来は自然に前へ進むはずの動きが崩れ、
どこかで無理に体を前へ運ぼうとする状態になります。
このような状態が、
最初の「体を足の上に乗せる(上る)」動きが
うまくできていない状態です。
“下れない”状態とは?
体が足の上に乗ったあとは、
その体がスムーズに前へ送り出されていきます。
このとき、体はまっすぐ前へ進み、
次の一歩へとつながっていきます。
しかし実際には、
・骨盤が横に流れてしまう
・体が前ではなく横に逃げてしまう
といった状態が多く見られます。
これは、いったん足の上に乗った体が、
まっすぐ前へ「下れていない」状態です。
本来であればスムーズに前へ進むはずの動きが、
横へのズレによって妨げられてしまいます。
その結果、反対側の足が地面についたときに、
ブレーキがかかるような動きになってしまいます。
このような状態では、
体を前へ送り出す流れが途切れてしまいます。
そして、「上る」動きがうまくできていない場合、
上っていないものは下りようがありません。
そのため、「上れない」状態では、
「下る」動きもうまくいかなくなってしまうのです。
「歩き方の崩れ」が痛みになる
このように歩き方が崩れることで、
本来必要のない余計な動きが繰り返されるようになります。
例えば、
体が前に突っ込む人は、
突っ込んだ体を止めるために背中の筋肉が必要以上に働きます。
また、骨盤が横に流れる人は、
流れる側の骨盤の外側から太ももの外側にかけての筋肉が、
ブレーキをかけるために過剰に働くようになります。
こうした動きは、一回一回は小さなものでも、
歩いた回数分だけ繰り返されていきます。
例えば、1万歩歩けば、
片足だけでも約5000回繰り返されることになります。
その積み重ねによって特定の部分に負担が集中し、
結果として痛みとして現れてくるのです。
なぜこの状態になるのか
■ なぜこの状態になるのか
こうした歩き方の崩れは、
日常生活の影響を強く受けています。
例えば座っているとき、
「座りすぎは良くない」とよく言われますよね。
確かにその通りですが、
デスクワークをしている人すべてが痛みに悩まされるわけではありません。
そこには、日常の中にある“習慣の違い”があります。
・足が浮いている
・背もたれに体を預けている
・肘置きに頼っている
といった姿勢になっていないでしょうか。
実際に「ちゃんと足をつけて座っていますか?」とお聞きすると、
意識していなかったという方がほとんどです。
このような状態では、
足で体を支える機会がほとんどありません。
本来、足に体重がかかることで、
地面から体を支える力が働きます。
体には上から下へ重力がかかっていますが、
それに対して地面からは体を押し返す力が働きます。
これが「床反力」です。
この力をうまく受けることで、
体は無理に力を入れなくても支えられるようになります。
しかし、こうした生活が続くと、
足で体を支えるという感覚そのものが弱くなっていきます。
その結果、立ったときや歩いたときにも、
体を足の上にうまく乗せることができず、
「上れない」そして「下れない」状態につながってしまうのです。
まとめ
ここまでお伝えしてきたように、
痛みの原因は「痛い場所」ではなく、
日常の体の使い方の積み重ねにあります。
そして、その体の使い方は、
自分では気づかないうちに偏りが生まれていることがほとんどです。
そのため、痛みを改善していくためには、
その場しのぎではなく、
体の使い方そのものを見直していくことが重要になります。
まずは、ご自身の体の使い方に目を向けてみましょう
体の使い方は、自分ではなかなか気づきにくいものです。
当院では、体の状態や動き方を丁寧に確認し、
どこに負担がかかっているのかを明らかにしたうえで施術を行っています。
施術の流れや考え方については、こちらをご覧ください。
