前回は、
「頑張る場所が痛くなることがあります」
というお話をしました。
歩行では、
十分な推進力が得られないと、
体のどこかがその代わりをすることがあります。
その場所は人それぞれですが、
まずは
「膝」を例に考えてみます。
膝の前側が痛い方はとても多く、
その中には、
歩行中に膝へ繰り返し捻れのストレスが加わっている方がたくさんいらっしゃいます。
今回は、
その膝の痛みの中でも代表的な例の一つである
「下腿外旋症候群」
についてお話しします。
下腿外旋症候群と呼ばれる状態があります
ここ数年、
理学療法士の間でも
「下腿外旋症候群」
という言葉が一般的に使われるようになってきました。
脛骨(すねの骨)が大腿骨に対して外旋し、
膝へ捻れのストレスが繰り返し加わる状態を表したものです。
※大腿骨(太ももの骨)が脛骨に対して内旋した場合も、
相対的には同じ状態になります。
膝は、
基本的には曲げ伸ばしをする関節です。
もちろん、
少し捻れる構造もありますが、
本来は繰り返し大きく外旋しながら使うようにはできていません。
その結果このような捻れる力が繰り返し加わると、
本来かからなくてもよいストレスが
膝のさまざまな組織へ加わることになります。
どのように膝に痛みが出るのでしょうか?
「膝の前側が痛い」
というケースはとても多いですが
その痛みの原因になりやすい組織の一つに
膝蓋下脂肪体があります。
膝の曲げ伸ばしに合わせて動き、
クッションのような役割を果たしている組織です。
ですが、
本来かからない捻れのストレスが繰り返し加わると、
炎症を起こしたり、
変性したりするなど、
痛みの原因になることがあります。

また、
膝を支える筋肉へ影響することもあります。
筋肉は、
関節を動かすだけではありません。
関節を安定させたり、
過剰な動きを抑えたりする
「制御」
という大切な役割も担っています。
そのため、
膝に繰り返し捩れの力が加わると、
その動きを抑えようとして
筋肉は何度も働き続けることになります。

このような状態が繰り返されれば、
筋肉や腱にも少しずつ負担が積み重なり、
痛みとして現れることがあります。
では、なぜ下腿外旋症候群になるのでしょうか?
原因は一つではありません。
足の形や関節の硬さ、
筋肉の働きなど、
さまざまな要因が関係します。
ですが、
共通していることがあります
「膝が捻れる使い方を繰り返している」
ということです。
人が最も多く繰り返す動作は
「歩くこと」です。
つまり、
膝が捻れるということは、
歩くたびにその動きが繰り返されているということです。
歩行は1日に何千歩も行い、
それを何年、何十年と続けていきます。
だからこそ、
一回一回は小さな捻れでも、
少しずつ膝へストレスが積み重なっていくのです。
歩行のどこで膝は捻れるのでしょうか?
「アブダクトリーツイスト」
と呼ばれる動きがあります。
これは、
歩行の蹴り出しの場面で、
踵が内側へ振れる動きです。
本来、
歩行では
無理に地面を蹴らなくても、
前へ進めるようにできています。
ですが、
何らかの理由で
十分な推進力が得られないと、
地面を蹴って
前へ進もうとすることがあります。
そして、
そのような歩き方の中で、
アブダクトリーツイストが
見られることがあります。
もちろん、
推進力が足りないからといって、
必ずアブダクトリーツイストになるわけではありません。
ですが、
歩行を見ていると、
このような場面に出会うことは少なくありません。
踵が内側へ振れると、
つま先は外側を向きます。
踵が内側へ振れると、
つま先は外側を向きます。
足部が外側を向けば、
その力に引っ張られるように、
下腿には外旋方向への力が加わります。
その結果、
歩くたびに膝へ捻れのストレスが繰り返し加わることになるのです。

大切なのは、アブダクトリーツイストそのものではありません
ここまで、
下腿外旋症候群や
アブダクトリーツイストについてお話ししてきました。
ですが、
私が歩行を見る時に
最も大切にしているのは、
アブダクトリーツイストそのものではありません。
本当に知りたいのは、
「なぜその歩き方になったのか」
ということです。
例えば、
なぜ推進力が十分に得られないのはなぜか?
その問題は足部にあるのか?
股関節の使い方なのか?
あるいは別の理由なのか???
原因は人によって異なります。
ですから、
膝の捻れを戻そうとしたり
アブダクトリーツイストだけを出ないようにしたりと
無理に矯正しようとしても
本当の理由が残ったままであれば、
別の場所へ負担が移るだけかもしれません。
歩き方を見るということは、
「どんな歩き方をしているか」
を見ることではありません。
「なぜ、その歩き方になったのか」
を考えることです。
からだラボでは
痛い膝だけではなく、歩き方全体を評価することを大切にしています。
その理由が分かって初めて、
本当に必要な対策が見えてきます。
まとめ
下腿外旋症候群は、
膝が外旋することで
膝へ捻れのストレスが繰り返し加わる状態です。
その結果、
膝蓋下脂肪体や筋肉など、
さまざまな組織へ負担がかかることがあります。
ですが、
大切なのは
なぜ、その状態になったのか。
まで踏み込むことです。
歩き方には必ず理由があります。
そして、
その理由を見つけることが、
根本的な改善への第一歩になります。
ご案内
からだラボでは、
「膝が痛いから膝だけを見る」
という考え方はしていません。
歩き方や体の使い方を評価し、
なぜ膝へ負担が集まっているのか。
その理由を一緒に考えながら、
お一人おひとりに合った改善方法をご提案しています。
「歩くと膝が痛い」
「原因がよく分からない」
「何度も繰り返してしまう」
そのようなお悩みがありましたら、
お気軽にご相談ください。
まずはこちらをご覧いただくことで、「膝痛」の考え方がより整理できます


コメント