歩行は「登る」と「下る」の繰り返しです|人はこうやって前へ進んでいます

歩行の目的は、

「移動すること」です。

ですから、
前に“進む”ということはとても大切なことです。

では、
人はどのようにして前へ進んでいるのでしょうか?

多くの方は、

「足を前に出しているから」
と答えるかもしれません。

確かに、
歩く時に足は前へ出ます。

ですが、
「歩き」の本質はそこだけではありません。

目的である
「移動すること」
を達成するためには、

もっと大切なメカニズムがあります。

今回は、
そのために大切な「歩きの構造」について考えていきます。

目次

歩行は本来、とても効率的な動作です

歩いている姿を見ると
「足を前へ出している」ことに目が向きやすいかと思います

そういったことからか、
「歩幅を大きく」
「膝をしっかり上げて」

といったような
足の振り出しに関する歩行時の注意点を
よく耳にします。

ですが、

歩行で最も大切なのは
この部分ではありません。

歩行というのは、

やろうと思えば
1時間でも2時間でも続けることができます。

もちろん、

「膝が痛い」
といったような体に不調がある方は別です。

同じ動作を
ずっと繰り返すというのは、
なかなか大変なことですが、

歩行は可能です。

これは、

歩行時に消費するエネルギーが
とても少ないからです。

1日に何千歩、
多い人では1万歩以上歩くのが歩行です。

ですから、

歩行でエネルギーをできるだけ使わないということは、
とても大切なことなのです。

もし、

「膝をしっかり上げて」
という歩行を繰り返せばどうでしょう?

1時間歩き続けるのは、
なかなか大変になります。

歩行では、重力が前へ進む力になります

ここまでお話ししたように

歩行は、
長時間続けることができる動作ですが、

筋力など自分の力だけで
前へ進んでいるわけではないからです。

例えば、
坂道を下る時を想像してみてください。

頑張って前へ進もうとしなくても、
自然と体は前へ進みますよね。

ブレーキをかけながら進まないと
勢いがついて転んでしまうかもしれません。

これは、

重力によって体が下へ引っ張られるからです。

実は、

平地を歩く歩行でも
同じようなことが起きています。

歩行で、
一歩足を前に出します

そして

前に出した足の上に
体を乗せます。

そして、

体は足を追い越して前へ送られます

この

「足を追い越して前へ送られる」

時に、

下り坂を下るように
体は重力の力を受けて前へ進みます。

ここが、

歩行にとって
とても大切なポイントです。

では、なぜ体は前へ送られるのでしょうか?

重力によって体が前へ送られる
そうお話ししました。

ですが、

ここで一つ疑問が出てきます。

それは、
「なぜ体は前へ送られるのか?」
「送る」のではないのか?
ということです。

例えば、

平らな床の上に立っているだけでは、
体は勝手に前へ進みません。

重力は常に働いていますが、
それだけでは移動は起こりません。

では、

歩行では何が違うのでしょうか?

その違いは、
体の高さです。

坂道を下る時、
私たちは高い場所から低い場所へ移動します。

だから、
重力が推進力に加わります。

歩行でも同じです。

体が足の真上にある時、
体は最も高い位置にあります。

その後、

体(胴体)が足を追い越して前へ進むと、
体の位置は少し下がります。

つまり、

体が前へ送られるためには、

体は高い位置から低い位置へ移動するため
重力を推進力に使います

なので「送られる」なのです

ここで疑問が生まれますね。

歩くのは1歩で終わるわけではありませんね

高い位置から低い位置へ移動するということは、
その後また高い位置へ移動しなければ次の1歩に繋がりません

つまり、

下った後は
高い位置へ「登る」
という動きが必要になるのです。

歩行には「登る」動きがあります

歩行では、

一歩足を前に出して踵が地面についた後、
体はその足の上へ乗っていきます。

その結果、
体の位置は少し高くなります。

「階段や坂道を登る」というほど大きなものではありませんが、

体は少し高い位置へ移動しています。

少しの変化なので、
普段は意識することはありません。

ですが、
歩行の中では非常に重要な動きです。

なぜなら、

この「登る」という動きがあるからこそ、

その後の
「下る」という動きが生まれるからです。

逆に言えば、

うまく登れなければ、

その後の前への移動も
スムーズにはいきません。

つまり、

歩行において大切なのは、

足を前へ出すことではなく、

体がしっかり足の上へ乗れているかどうか
ということになってきます。

歩行は、「登る」と「下る」の繰り返しです

ここまでくると、

何となく

「歩行の本質」
のイメージが掴めてきたのではないでしょうか?

歩行では、

体が足の上へ乗る
「登る」動きと、

その後に前へ送られる
「下る」動きが繰り返されています。

この二つの動きは、
互いに密接に関係しています。

「登る」ことで、
「下る」ことができます。

また、

「下る」場面では、
重力によって体が前へ送られます。

そして、

その勢いを利用して、

次に来る「登る」
という動きが行われます。

まるでジェットコースターが、
下り坂で勢いをつけて進み、

その勢いを使って
次の坂を登るイメージです。

「登る」から「下れる」し
「下る」から「登る」のです

歩行でも、

同じようなことが起きています。

ですから、

歩行では重力の力を利用しながら
前へ進んでいくため、

自身のエネルギー消費を
少なく保つことができます。

もし私たちの歩行が、

「足を前に出す」
「膝を高く上げる」

といった動作そのものが
重要な部分であったなら、

歩行に必要なエネルギーは
もっと大きなものになってしまうでしょう。


歩行とは、
足を前へ出す動作ではありません。

「登る」と「下る」を繰り返しながら、
効率よく前へ進むための動作なのです。


この内容とあわせて読んでください

まずはこちらをご覧いただくことで、「歩行」の考え方がより整理できます

ご自身の状態を知りたい方は、こちらをご利用ください

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