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水の飲み過ぎは太る!「水2ℓ飲もう」は間違い!!


水は飲み過ぎると太ります”

「え?水ってカロリー0(ゼロ)じゃないの?」

と聞こえてきそうですが、カロリーの問題ではありません。

特に、「水ダイエット」なんてダイエット法もネットで紹介されていたりしますから、失敗しないように取り組みたいものです。

1、そもそも水分摂取の適正量って??

水分摂取の適正量っていくらでしょう?

2ℓだとか、1.2ℓだとか、いろんな情報があってよく分からないですよね?

結論から行くと、“適正量”といったような決まった量は存在しないといって良いと思います。

例えば、体重100kgの人と、半分の50Kgの人がいたとします。

飲む量が一緒なわけないですよね?

“目安値”みたいなものはあってもいいかもしれませんが、あくまでも目安で、体格によっても違うし、その日の活動量によっても違えば、天気や湿度によっても変わってくるでしょう。

それぞれ臨機応変に対応して調節することが本来必要なのです。

ネットの情報を見ていると『2ℓがいい』っていうのと『1.2ℓがいい』というのが最も多いように感じます。

理由があってこの数字になっているようなのですが、おそらく数字の出どころは厚生労働省のポスターかと思われます。

『健康のために水を飲もう』推進運動といって、2007年からこのポスターの掲示がはじまりました。

詳しく見ると

1日の水分の出入り2.5ℓ

🔶排泄量

・尿、便1.6ℓ

・呼吸や汗0.9ℓ

🔷1日の水分摂取量

・食事で1.0ℓ

・体内で作られる水0.3ℓ

となっています

ここでの『飲み水1.2ℓ』という数字から、「1日1.2ℓ必要だ」みたいになっているようです。

でもこのポスター、「1.2ℓ飲みましょう!!」とは書いてないです。

なぜなら、この数値の基準になっている、1日の水分の出入り2.5ℓという数字が問題なんです。

人間は体重1㎏につき1日におよそ35㎖の水分が必要とされています。

つまり、2.5ℓ必要な人というのは

2500㎖ ÷ 35㎖ = 71.4…となります

つまり、ここでは体重70㎏の人というのが前提の数字になります。

50㎏の女性の場合、50㎏×35㎖=1750㎖(1.75ℓ)の水分の出入りがある、ということになりますから、数字的にはだいぶ違ってきますね。

ちなみにこのポスター、第1講では60㎏の人、第2講で70㎏の人の話をしています。

ちょっとややこしいです。

でも、ポスター全体をよく見ると、『あと2杯、水を飲みましょう』とは書いてますが、○○ℓ飲みましょうとは書いてないですね(笑)

『1.2ℓ飲みましょう』はこのポスターから、『2ℓ飲みましょう』については、1.2ℓ~2ℓ飲みましょうとなっているところも多いので、この数字が独り歩きしたんじゃないかと思われます。

1ー2,目安量は?

色々変動するとはいえ、ある程度目安は知りたいところです。

そこで・・・

体重(㎏)×年齢別必要水分量(㎖)=必要な水分量(㎖/日) で計算してみましょう。

【年齢別必要水分量の目安】

・25~54歳 35㎖/㎏/日

・55~64歳 30㎖/㎏/日

・65歳以上 25㎖/㎏/日

体重50㎏、30歳だと50×35=1750㎖ ということになります

おおよそこの計算での数字が目安になってくると思います。

1ー3,計算以外の方法

オシッコの回数

上記の計算方法で目安をある程度押さえておいたら、あとはその日の状況に応じて臨機応変に対応する必要があります。

水を飲み過ぎたら、もちろんオシッコに行きたくなりますよね?

かなりザックリですが、オシッコの回数も目安になります。

1日5~7回が自然な回数と言われています。

これ以上多いと水飲み過ぎということになりますし、少ないと足りない、ということになります。

ただし、カフェインやアルコールを摂るなどするとかなり変動しますから、この点は注意が必要です。

体重を測る

単純に体重を測り比べる、というものです。

1日で痩せたり太ったりはそうそう起こるものではありません。

でも、朝体重計に載った時と、夕方に体重計に乗った時では体重はいくらか違うものです。

この差のほとんどは水分ですので、これを基準にします。

ただし、1日に何回も測るのは現実的ではありませんので、有効な方法かどうかは微妙なところです。

ただ、『今から激しい運動をする』という前後で測り比べて消費した水分を補給する、というのはかなり有効な方法かと思われますので、スポーツ選手などにはこの方法はかなりおススメですね。

オシッコの色で判断する

これが最も有効な方法ではないかと考えています。

オシッコの色を見て判断します。

「オシッコの色が今日は濃いなぁ」とか「今日は薄いなあ」とか感じることはありませんか?

摂取水分量が少ない場合、色は濃くなりますし、多い場合は薄くなります。

右図の1~3くらいの薄い黄色のオシッコの場合、良好な状態です。

これに対し、4よりも濃くなると摂取水分量が足りない、つまり脱水状態です。

とくに7~8くらいの場合は早急に水分を摂取しましょう、といった段階です。

なお、1よりも薄い、無色透明な状態もあります。

これは、水分摂取量が多い、という状態です。

飲み過ぎですね。

これはこれで問題ですので、水分摂取を控えましょう、といったことになります。

トイレに行くたびに確認ができますので、現実的な判断方法かと思われます。

2,水分の摂り過ぎ

水が足りないと脱水症状を起こします。

特にここ数年どんどん気温が高くなっていますので、熱中症・脱水症には注意が必要です。

そのこともあって、かなり水分を補給することが日常化してきています。

ただ、この水分補給には落とし穴がありますのでその点にも注意は必要です。

2ー1,摂り過ぎは危険

ちょっとひどい場合ですが、水分の摂り過ぎで水中毒と呼ばれる状態になることがあります。

症状としては、疲労感、手足の痺れ、嘔吐、呼吸困難などがあります。

水分を摂り過ぎても、尿として排泄できれば問題はないのですが、腎臓の許容量を超えてしまった時に起こってしまいます。

ですので、1回や2回多少飲みすぎたくらいではこんなことは起こりません。

でも、もともと腎臓に何かしらの問題があったり、極端に水分を摂り過ぎたりすると起こります。

2ー2,危険とまではいかなくても

水分を摂り過ぎて体内の水分量が多くなると血液中のナトリウム濃度が下がってしまいます。

熱中症予防で水分を摂取する際に水ではなくスポーツドリンクなどが推奨されるのはこのためです。

普段ナトリウムは食事によって体内に入り、汗やオシッコで体外に排泄されてその量は調整されています。

ナトリウムは身体の水分量や血圧を維持したり、筋肉や神経が正常に働くのに重要な役割を担っていますので、とても大事なものです。

身体の水分が増えてしまって、血液の中のナトリウム濃度が薄くなると、身体は危険と感じてナトリウムが体外に排泄されるのを抑制しようとします。

そのためアルドステロンが副腎から分泌されます。

このホルモンはオシッコからナトリウムが出ないようにするホルモンなのですが、ナトリウムが水分もため込んでしまいます。

このため、水分が排泄されずに体内に残ってしまいます。

水分が残ってしまうと、血液も水分ですから血液量も増えます。

血液を流す際には、増加した血液を流さなければいけませんから、心臓が頑張ります。つまり血圧が上がります。

血圧を上げるために(心臓に頑張らせるために)交感神経(興奮する自律神経)が働きます。

つまり

アルドステロンの分泌 = 交感神経が優位になる ということです。

交感神経は副交感神経とセットで自律神経と呼ばれます。

活動時は交感神経、休息時は副交感神経が優位にはたらいて体のバランスを取ります。

休息をとっているときに心臓がどきどきしていたり、瞳孔が開いて目がギンギンになっている状態っていうのは自律神経のバランスが乱れている状態です。

身体の水分量が多くて、ナトリウム濃度が低下してくると、アルドステロンが分泌されて交感神経が優位になります。

その時が休息時だったとしても交感神経が優位にはたらいてしまいます。

水中毒とまではいかなくても日常的に水分が過剰な状態が続くのはいただけません。

アルドステロンの分泌が続いて交感神経が優位な状態=自律神経が乱れた状態が続いてしまうことになります。

3、自律神経の乱れで起こる問題

自律神経の乱れから起こる問題は沢山ありますが、今回は『太る』という題ですので、この点についてお話しします。

交感神経が優位だということは、胃腸の働きは悪くなります。

ごはん食べた後すぐに動くと消化がすすみませんよね?

食べてすぐに交感神経優位にすると、胃腸が働かないんです。

食べてすぐは休息をとって副交感神経優位にしておきたいのが通常です。

では、普段から水分過剰で交感神経優位な状態だったとしたらどうでしょうか?

胃腸での消化吸収がなかなかすすみません。

消化吸収がすすまないと、せっかく食物を食べてもエネルギーの吸収がすすみません。

しっかり食べてるのにカロリー不足、みたいなことになったり、消化吸収できずに残ったことで腸内環境が乱れるもとになったりします。

身体のエネルギーが足りない状態になると、代謝が下がってしまうもとになります。

代謝が下がると、ダイエットは絶対うまくいきませんから、ここだけは死守したいところです。

痩せようと思って水分を多くとることが、結局代謝を下げて太るもとになってしまうという最悪の状態は避けましょう。

4、まとめ

短期的にこういうことが起こることはあまりないと思います。

ただ、長期的に水分を多くとり過ぎたりするとこういう状態に陥る可能性が出てきます。

ダイエット目的で水分を多くとるというのは、長く続けるということですね?

何事にも『適量』、『ちょうどいい』というものがありますから、極端なことではなくしっかり順を追って取り組みましょう。


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