「背筋はしっかり伸ばして歩く」
「膝とつま先は同じ向きに」
「物を持ち上げるときは股関節で」
こういった話を聞いたことはありませんか?
もちろん、
こう言われることには理由があります。
ですが、
ここで一つ考えてみてほしいことがあります。
それは、
「本当に、正しい動きは一つだけなのでしょうか?」
ということです。
人の体には、さまざまな動き方があります
例えば、
物を持ち上げる動作を考えてみましょう。
腰だけで持ち上げるような動きは、
腰への負担が大きくなることもあるため、
持ち上げ動作には気をつけたいところです。
ただ、
膝の曲げ伸ばしを中心に持ち上げる人もいれば、
股関節を中心に使う人もいます。
どちらも、
腰への負担を減らすための方法になります。
つまり、
「これが絶対に正解」
というわけではありません。
また、
歩き方も同じようなことが言えます。
我々セラピストは、
養成校などで
「正常歩行」というものを学びます。
例えば、
「この場面では股関節が〇°〜△°動く」
「膝関節が〇°〜△°曲がる」
といった基準があります。
ですが、
実際に現場でたくさんの人の歩き方を見てみると、
みんな少しずつ違います。
体に全く問題のない人同士でも違います。
教科書に載っていない動きがあったとしても、
それだけで
「間違った動き」
と決まるわけではありません。
もちろん、
基準になる動きはあります。
ですが、
実際には人によって動き方には違いがあります。
そのため、
「教科書通りではない」
というだけで、
悪い動きと決めつけることは難しいのです。
では、「何でもあり」なのでしょうか?
ここまで読むと、
「正しい動きが一つではないなら、何でも良いの?」
と思われるかもしれません。
もちろん、
それはそれで少し異なります。
例えば、
「歩行」を考えてみましょう。
歩くという動作は、
前へ進むための動作です。
そして、
できるだけ少ないエネルギーで、
スムーズに移動できることが理想になります。
途中で大きく横へフラついたり、
無理に頑張って前へ進んだりしている状態は、
効率の良い動きとは言いにくいでしょう。
もちろん、
動くたびに強い痛みが出るような状態は、
良い動きとは言いにくいでしょう。
つまり、
「正しい形に当てはまるか」
が大切なのではなく、
その動きが、
本来の目的を果たせているのか
ということが大切なのです。
“正しい形”は、最初から決まっているわけではありません
歩行について、
「できるだけ少ないエネルギーで、
スムーズに移動できることが理想です」
とお話ししました。
ただ、
これだけ言われても、
「結局どうしたらいいの?」
と思いますよね?
「歩幅を大きく」
「しっかり腕を振る」
など、
明確な決まりがあった方が楽かもしれません。
ですが、
そうは問屋が卸してくれないのが現実です。
お話している通り、
人の体はそれぞれ違います。
そのため、
「できるだけ少ないエネルギーで、
スムーズに移動する」
ために、
何を変える必要があるのか、
何をする必要があるのかは、
人によって変わります。
また、
痛みがある場合は、
その痛みによって動きが制限されます。
そのため、
「痛みがない動きはどうすれば成立するのか」
という視点も大切になります。
つまり、
大切なのは、
決まった形に当てはめることではなく、
その人にとって、
何が必要なのかを見ていくことなのです。
同じ動きでも、変化は人によって違います
例えば、
「歩幅を大きくして歩きましょう」
と言われたとします。
ある人は、
歩幅を大きくしたことで、
スムーズに歩けるようになるかもしれません。
ですが、
別の人では、
無理に足を前へ出そうとして
逆にぎこちなくなるかも知れません
また、
「背筋を伸ばしましょう」
という意識も同じです。
背筋を伸ばしたことで
動きやすくなる人もいれば、
逆に力が入りすぎて
しんどくなる人もいます。
同じ動きでも、
誰にでも同じ結果が出るわけではないのです。
じゃあ、どうするのか
ここまで読むと、
「じゃあどうしたらいいんだよ!!」
と思われるでしょう。
実は、そこが難しいところなのです。
「こうすればいい」
という共通の答えは、
残念ながら存在しないのです。
なぜなら、
人によって、
・体の硬さ
・筋力
・過去のケガ
・普段の体の使い方
などが違うからです。
つまり、
最初から
「正しい形」を当てはめるのではなく、
今のその人にとって、
・何が負担になっているのか
・どうすればスムーズに動けるのか
を見ていく必要があります。
そして、
その“見極め”ができるかどうかは、
我々セラピストにとって、
とても重要な能力になります。
みなさんには、
「〇〇さんが良かったと言っていた」
「TVで〇〇が良いと言っていた」
という情報が、
必ずしも自分にも合うとは限らない
という視点を、
少し頭に入れておいていただければと思います。
まとめ
「正しい動き」と言われるものには、
もちろん理由があります。
ですが、
人によって、
体の状態や動き方は違います。
だからこそ、
「これが正解」
という形を最初から決めつけるのではなく、
今の体で何が起きているのかを見ていくことが大切になります。
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一般的に言われる
「正しい姿勢」
「正しい歩き方」
「正しい動き」
といった形だけを見て、
体の状態を判断することはありません。
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